
内容と問題の相性を見て、自分が始めやすい資格を選ぼう
初めて資格を取るとき、簿記3級とFP3級が候補になることがあります。どちらもお金に関係する資格ですが、学ぶ内容は違います。「どちらが取りやすいか」を知りたくても、数字が得意か、制度の言葉を知っているか、何のために取りたいかによって感じ方は変わります。まずは、勉強する内容の違いを見てみましょう。
簿記3級とFP3級は、学ぶ内容と問題への取り組みやすさで比べると選びやすくなります。全員にとって同じほうが簡単とはいえません。教材の入門説明と基本問題を少し試すと、自分が理解しやすいことや、続けて学びたい内容が見えてきます。
簿記3級は、会社のお金を記録するルールを学ぶ
日商簿記3級では、基本的な商業簿記を学びます。商品を売った、代金を受け取った、事務用品を買ったなどの取引を、決まったルールで記録します。現金や売上などの勘定科目を使い、借方・貸方という左右の位置へ科目と金額を整理する仕訳が、学習の基本になります。
最初は独特の言葉や左右のルールに迷うことがあります。具体的な取引を理解し、基本問題を繰り返して考え方に慣れる必要があります。一つのルールを理解し、似た問題へ使っていく勉強が合う人には、進み方をつかみやすい場合があります。数字を扱いますが、計算だけでなく、取引の文章を読み取ることも大切です。
FP3級は、暮らしのお金の制度を幅広く学ぶ
FP3級では、家計や生活の計画、保険、年金、税金、金融商品、不動産、相続などの基本を学びます。普段の生活で聞いた言葉が出てくるため、身近に感じる分野があるかもしれません。制度の目的、用語の意味、条件や計算の基本を確認し、事例の問題に使う練習をします。
範囲が広いため、興味のある保険だけを学べばよいわけではありません。似た制度の条件を取り違えないよう、違いを比べて確認します。覚える内容に加え、計算する問題もあります。生活で知っていることを入り口にできる人には、学ぶ理由を見つけやすい場合がありますが、すべての分野が最初から簡単とは限りません。
二つの資格を、学習の進め方で比べてみよう
簿記は、取引の記録のルールを使い、問題を解く練習が重要です。FPは、幅広い制度や用語を理解し、条件を確認する勉強が必要です。どちらにも理解と復習があり、暗記だけ、計算だけと分けられるものではありません。次の表を、教材を見比べるときの目安にしてみましょう。
| 比べる点 | 日商簿記3級 | FP3級 |
|---|---|---|
| 学ぶ対象 | 会社のお金の記録 | 暮らしのお金に関わる制度 |
| 学習の基本 | 取引と記録のルールを理解 | 用語や制度の意味と条件を理解 |
| 必要な練習 | 仕訳・帳簿・決算などの問題 | 各分野の基本と事例の問題 |
| 目的の例 | 経理や仕事の数字を理解したい | 家計や保険などを知りたい |
「数字が苦手だから必ずFP」「暗記が苦手だから必ず簿記」と決める必要はありません。簿記にも用語の理解があり、FPにも計算があります。苦手だと感じる内容を具体的に見ると、教材の説明や練習で補えることもあります。自分が何につまずくかを知るために、基本問題を試してみることが役立ちます。
試験の形が違うため、合格基準だけでは比べにくい
日商簿記3級は商業簿記の試験で、試験時間は60分、合格基準は70%以上です。FP3級では学科と実技の両方に合格する必要があります。日本FP協会の3級では、学科は60点満点中36点以上、実技は100点満点中60点以上が基準です。試験の構成や問題が異なるため、数字だけで簡単さを判断することはできません。
FPの実技は、実施団体で内容が異なります。日本FP協会の3級実技は、資料や事例を扱う多肢選択式の問題です。簿記のネット試験は、会場のパソコンで解答を入力する方式です。受ける試験に合った問題や操作の練習を確認すると、自分が準備したいことを具体的に考えられます。
合格率や体験談は、参考の一つとして見る
合格率は、その試験を受けた人のうち合格した人の割合です。受験者の経験、勉強した時間、試験方式や時期なども関係するため、合格率が高いほうが自分にも必ず簡単とはいえません。簿記とFPでは受験者や試験の構成が違い、FPには学科・実技それぞれの結果もあります。
「短期間で合格した」という体験談も、その人の知識や生活の状況によって変わります。知っている分野が多い人と、初めて学ぶ人では、必要な学習が異なります。体験談から教材の使い方などを参考にしつつ、自分の問題の解け方を見て予定を立てましょう。他の人と同じ期間に合わせることより、必要な復習を確保することが大切です。
仕事と暮らし、どこへ生かしたいかを考える
経理事務の基礎を知りたい、請求や入金の内容を理解したいという目的なら、簿記の学習が関係します。家計、保険、年金などの仕組みを知りたいなら、FPが入り口になる場合があります。仕事で使いたい人は、求人や担当業務で求められる内容も見て、資格の学習と結び付くか確認しましょう。
どちらの合格も、採用や収入が自動的に決まるものではありません。資格取得後に必要な知識を復習し、パソコン操作や実務の経験と組み合わせることも大切です。最初の一つを選ぶときは、何を知りたいかを短く書いてみます。学ぶ理由がはっきりすると、難しい内容に出会ったときも、続ける目的を思い出しやすくなります。
迷ったら、両方の入門説明と基本問題を試す
簿記なら、現金で物を買った取引を記録する例を見ます。FPなら、保険や年金など、身近な制度の入門説明を読みます。それぞれ基本問題を数問解き、解説を読んで理解できるか確かめましょう。最初に間違えた数だけで比べず、なぜ違ったかが分かるか、続きを学びたいかを見てみます。
教材の見本を確認するだけでも、文章や図との相性を考えられます。先に一つを学び、必要に応じて次の資格を目指す方法もあります。両方を同時に始めることが負担になるなら、一つの基本を学ぶ予定から組み立てましょう。選んだ後も、進み具合を見て学習時間や支援の使い方を調整できます。
取りやすさは、自分が続けて学べる内容から考えよう
簿記3級とFP3級は、同じお金に関係する資格でも、学ぶ対象と問題の考え方が違います。ルールを使って記録することに興味があるか、生活の制度を幅広く知りたいかを考えてみましょう。基本問題と解説を試すと、自分にとって始めやすい内容も見つけやすくなります。
今の知識、使える時間、取得する目的を合わせて選ぶことが大切です。どちらかを学ぶことで、もう一方のお金の知識に興味が広がることもあります。「誰にでも簡単なほう」を探すより、自分が理解しながら続けられるほうから、資格の勉強を始めてみましょう。
